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愛はジャスト

You never do it on!!

映画『ピンクとグレー』感想(※ネタバレあり)

Hey!Say!JUMP 感想系

公開初日から早三週間が経とうとしております映画『ピンクとグレー』をようやっと観に行って参りました。実は舞台挨拶にもこっそり申し込んでいたのですが、世の中の全ての人間を運が良い人間と悪い人間の二種類に分けるならば確実に後者に入る私はご報告するまでもなくごく自然に落選しました。しかしそれが却って「通常の上映は這ってでも観に行ってやる…」という紅蓮の執念を燃やすガソリンにもなり、大阪で開催中のピンクとグレー展にも足を運んだりするなど気合いだけは十分だったのですが、結局こんな終盤になって劇場へ駆け込むという体たらくっぷりを発揮してしまいました。まぁ兎にも角にも間に合って良かったです。

さて、映画館ピットアウト直後のナウでホットな感想としては「頼む!もう1回見せてくれ!訳が分からん!出来れば原作読む時間もくれ!訳が分からん!」と劇場の壁に頭を打ち付けて脳内に渦巻くモヤモヤを雲散霧消したい気持ちでいっぱいです。詳しくは後で述べますが、「何で?何で?何で?」という無数のはてなマークが頭にこびりついたまま離れないのですよね。

ちなみに本作品に対する私の認識レベルは、

原作 → 未読

監督:行定勲 → 監督作品見たことなし

主演:中島裕翔 → ファン(お目当て)

といった具合であり、この作品を読み解く大きなキーとなっているであろう原作を読んでいません。それはピンクとグレーに限ったことではなく、私は今までどの映画でも映画のために原作を読むという行動を取ったことが無いです。

以下、ネタバレ全開のややすっぱめの感想をしたためたので、未見の方や気分を害しそうだなぁと思われた方はブラウザバックしていただければと思います。何の前知識も持たない人がひとつの独立した映像作品としてこれを観た時のいち所感としてお納めいただければ幸いです。

 

 

*

 

 

先ほど「訳が分からない」という至極インスタントな感想を述べましたが、その心理を内訳すると二つに分けられます。一つは純粋に話の流れにおいて理解出来ない点があったこと、そしてもう一つは映像的にそれ要る?と思わず首をかしげてしまうシーンがあったことです。簡潔にいうと、プロットと演出の面でそれぞれ腑に落ちない部分がありました。

まずプロットの点で最も理解出来なかったところは、何といっても白木蓮吾が自殺した理由です。蓮吾の母親から貰ったあのビデオテープの映像だけ見たら、姉に恋心を抱いていたことが原因で自殺したとしか初見の人間たちは推測しようがないのですが、姉に対する恋心と自殺とがあまりにも結びつかなさすぎる。確実に何工程かすっ飛ばされてるようにしか思えなかったのですが、そのまま何の説明もなく終わってしまったので「えっ、わざわざ6通も遺書残して死んだ理由がそれだけ?もしかしてどこか重要なところ見逃したかな?」と不安になってしまいました。姉に恋心を抱いていた→故に姉と同じ自殺という道を選んだ、ということについては理解出来ないこともないのですが、やはり肝心の死を選ぶ動機が全く分からない。とどめに「他人とは分かり合えない」「俺は死ぬことを選んでお前は生きることを選んだ、それだけ」という言葉です。言われるまでもなく私もあんたと分かり合えないわよ!とあるはずのないちゃぶ台をひっくり返しそうになりました。そしてこんな思考回路不明の謎男に振り回されたりばちゃんの人生って一体…と、りばちゃんに対するある種の憐みすら湧いてきてしまいました。劇中劇ではあれど、前半の二人の友達以上恋人未満な関係の描写が素晴らしかっただけに、最後の最後で百年の恋も冷めるような興ざめをもたらされたことが残念でならなかったです。

それと、6通の遺書の内容やその中から自伝を書くことを選んだ理由も明らかにしてくれるんだろうと期待していただけに、残りの5通の内容が何だったのか分からないまま終わったのも悶々とした気分を加速させる要因となりました。そんなことしてたら時間的に足りなくなるという現実的な問題がはだかることは重々承知ですが、6通あると明言したのならばやはり全てやってほしかったです。それが不可能ならば元から1通という設定にしておいたほうが話の流れ的にスッキリしたのではないかなとさえ思いました。そうすれば原作と全く別物になることは理解していますが、クリエイター側の方々が自ら「映画と小説は全く別の作品となった」と仰っていたようなのでそのくらい思い切ってみても良かったのではと考えてしまいました。でもこの意見は原作を読んでいない人間ならではかもしれません。

そして、映像の部分で最も解せなかったシーンはおっパブのシーンです。いや、あのシーン本当に必要でしたか?今一度胸に手を当ててよく考えてみて下さい!と監督の肩をひっつかんで揺さぶりながら言いたくなるくらい意味が分からなかったです。あんなエロくないおっぱい生まれて初めて見た。ジャニーズがおっぱいまみれになるなんて><とかそういう感情じゃなく純粋に気持ち悪さが勝りました。なんか乳首光ってるし。芸能界は綺麗なものじゃない、ということの象徴としてのあのおっパブなのでしょうが、あれ抜きでもその点については十分表現出来ていたと思います。あのシーンの利点を無理やり探し出すとすれば、汚いおっぱいに囲まれたことにより裕翔りんの顔面の美しさがより際立ったことくらいでしょうか。散々脅されていたベッドシーンなんてこれに比べりゃなんてことなかったです。タワーオブテラーの後にイッツァスモールワールドに乗るようなものでした。

もう個人的な個人のブログなので個人の好みの話を堂々としてしまいますが、恐らく私は行定監督の作品との相性が悪いです。「それを言っちゃあおしまいよ」なことはよく分かっていますが、これはもう右利きで生まれてきたか左利きで生まれてきたかみたいな次元の話なので努力ではどうにもならないことだと思っています。実は鑑賞中、映像にたびたび既視感を覚えたのですが先ほどその原因が分かりました。行定監督、昔は岩井俊二の助監督として活躍されていたようですが、何を隠そう私は岩井俊二の映画が大の苦手です。特に映像中にPVみたいなのを突然差し挟んでくるあの演出がとても苦手です。好きな方いたらごめんなさい…。

この作品でいうなら件のおっパブのシーンもその手法だし、"Hey Girl"という曲名の蓮吾のPVが十数秒流れたあのシーンもそうです。どんなに作品の世界に没頭していてもそれが差し挟まれることでいっきに現実に引き戻されてしまうんですよね。おしゃれすぎるしクサすぎる。別にこの手法を使ってるのは行定監督や岩井氏だけじゃないし、菅田くんお気に入りのグザヴィエ・ドランもよくやるし私もドランは大好きですが、この作品のように伏線やプロットが入り組んでるタイプの映画にはあまり合わない撮り方のような気がしました。…うーんと、なんだか監督に対する個人的な悪口になってきたので切り口を変えます!

 

 裕翔りんの演技についての感想ですが、びっくりするくらい完全な"俳優"でした。裕翔りんを知った入口はもちろんアイドルだし、彼が出てるから観に行ったようなものだけど、途中からアイドル主演の映画を観にきたことを完全に忘れていました。ファンの欲目も入っている感は否めないですが、それでも素晴らしい演技だったと言い切りたい。62分以前は蓮吾のイメージそのままの透明なヴェールに覆われたどこか浮世離れした雰囲気の演技だったけど、62分以後はグッと人間臭くて血の通った一人の青年になっていて、その演じ分けの絶妙さに思わず舌を巻きました。あとアンニュイな面持ちで煙草を咥える裕翔りんの冴えわたるような美しさは五体投地ものでした。美しかった。一点の曇りもなくただ美しかった。

菅田くんの演技は今回が初見だったのですが、流石の上手さでした。自然なのに個性があって、モブにも背景にも主役にも脇役にも自在になれるけど、どんな時だってスクリーンの中での求心力は群を抜いていた。私は普段俳優で映画を観るというよりは監督で映画を観るタイプなんですが、そういう人間にもこの人が出るならジャンルや監督問わず見てみたいなぁと思わせるほどの魅力のある人でした。

 

さて、どちらかというとネガティブ要素多めの感想をお送りしましたが、面白かったのは面白かったです。色々と引っ掛かる部分はありましたが、俳優陣の演技の素晴らしさには胸を張って太鼓判を押せますし、少なくとも観に行って損したという気持ちにはなりませんでした。私ごときが太鼓判を押したところで特にハクがつかないのが悲しいところですが…。夏帆ちゃんは実に三井のリハウスぶりにお目に掛かったのですが、すっかり女優になっており感慨深いものがありました。

何やかんや言いましたが、そもそもオタクとして銀幕の裕翔りんの晴れ姿を楽しみたいだけだったのならこんな手厳しい感想を書かなくてもよかったのです。先にも書きましたが、裕翔りんの演技はこちらの予想を遥かに上回って良かったです。しかし、人生に一度の”初”主演の映画をファン相手のみの作品にしてほしくなかったなぁというのが正直な気持ちです。誰にでも好かれる映画なんてあるわけないしあるとしたらそれこそ駄作ですが、ふらっと映画館に立ち寄った人やレンタルビデオ店で何となく手に取った人々にも、少なくとも話の筋は理解できる映画になっていて欲しかったというのが切実な思いです。非オタ層にどれだけ訴求出来るかが勝負だと思うので…。何の予備知識もない人間が見るにはあまりにも繋がらない点と点が多かった。

まぁ一連の私のモヤモヤの原因を端的に申すなら原作と監督の相性、そして監督と私との相性が生理的に合わなかった、これに尽きるでしょう。

あ、ひとつ良いなと思った小ネタなのですが、りばちゃん一家が引越しのあいさつの時にちゃんと阪急百貨店の紙袋を持っていたのがリアルで親しみを覚えました。This is 関西人のたしなみ!