愛はジャスト

Sexy Thank You to the World(by 中島健人)

「やっぱり大人になってからの10年と、子どもの時からの10年って全然違うから。」

 

中島健人という存在について。

中高生の多感な時期に、ずっと一緒にいたのは大きいかもしれない。人間としても、いろいろ形成される時期を共に過ごしたっていうのは。やっぱり大人になってからの10年と、子どもの時からの10年って全然違うから。10代に培ったこの関係性を、今から培うのって難しいと思うんだよね。*1


これは2017年3月に発売されたTVガイドアルファで風磨くんが話していた内容の一部です。
毎月大量に発売される雑誌を全て買う余裕は財力的にも部屋のスペース的にも持ち合わせていないので、いつもはテキスト・ビジュアル共に好みのものだけを厳選して(吝嗇しているともいう)買っているのですが、これはこの一文を読んだだけで「絶対に手元に置いておかねば」と強烈に感じた思い出深い一冊です。
なぜ風磨くんのこの言葉がそれほど莫大な威力を持っていたのかというと、なんてことない、ただ単純に自分も同じようなことを考えていて嬉しくなったからです。特に「大人になってからの10年と子どもの時からの10年って全然違う」という部分は、ここ数年間ずーっと茫漠としたモヤになって私の頭の中を占拠していたトピックの一つでした。しかし、まだ20代の、子供時代の方が断然長い青二才の小娘がこんなことを言い切ってしまっていいのだろうか?と悶々と考えあぐねているうちに、年下の風磨くんに薪を割ったようにスパーンと言い切られてしまい、スッキリするやら情けないやら色んな気持ちで胸が溢れ返りました。
さて、どうして「やっぱり大人になってからの10年と子どもの時からの10年って全然違う」なんて思案に暮れていたのかというと、端的にジャニーズにハマって様々なジャニオタの思考を覗き見るようになったから、というのが理由の一つです。


これまでも何度か話していますが、私は少女期や思春期にジャニーズにハマっているクラスメイトたちに白い目を向けながら日々を生き、そんな彼女たちがジャニーズに大手を振って卒業していく成人後に、まるでリレーのバトンを手渡されるかのようにジャニオタになったタイプの人間です。私の10代、つまり風磨くんのいうところである「人間としても、いろいろ形成される時期」にジャニーズは影すら存在しませんでした。子供のころからジャニーズに慣れ親しんでいる人のツイッターやブログを見ていると、「これ、(グループ名)っぽい」とか「○○くんは●●くんに雰囲気がそっくり」とかそういう類のことをみんな息をするように自然に話しているけど、私にはそういう参照先が無い。こういうシーンを見かけるたびに、こんなにもナチュラルに理解しえない共通事項があるのか、と鮮烈にショックを受けます。でもそれは孤独感とか疎外感とかそういう湿度の高い感情とは違う、もっと決定的に明るくてカラッとしたヘルシーな驚きです。嫌だとかそういう風に思ったことはない。


これは完全に持論でしかないですが、中高生の頃のあの閉鎖的な人間関係・空間の中で「私にはこれしかない!」と心中するような気持ちで愛したものと、成人してからある程度自分の趣味趣向を把握して数ある中から選び取って好きになったものって、対象に対する熱量も自意識を注ぐ傾度も全く違うと思うんですよ。それは趣味とか好きなものだけじゃなく、住んでいる土地だったり他者との関係性だったり全てに当てはまることだと思いますが。当時はそんなこと露ほども思わなかったけど、中高生の頃に影響を受けたことって本人の意志とは無慈悲なくらいに関係なく、それ以降の「私」を形成するハードディスクになり得てしまうんだよね。私は、大人になってから今までに出会ったものはどれも全て「私」という中高生の頃の自分によって形成されたハードディスクの中で、あくまでもソフトディスク的にしか再生出来ない。だから私はジャニーズをジャニーズで再生できない。その代わり10代の頃に私を取り巻いていたものたちで再生してしまう。私自身、自分の10代の選択には何の後悔もないけど、やっぱりジャニーズをジャニーズで再生できる能力に羨ましさを覚える時があります。
そういう悶々とした状況の中で、時間に対する同じような他人の意見(=風磨くんの言葉)を目にして、「やっぱりそういうのってあるよね?!」と溜飲が下がるような思いになったのです。


もし風磨くんの時間に対する感度が私それと同じであるならば、健人くんは永遠に風磨くんのハードディスクの一部なんだろうと思う。そしてその"あなたは既に私の人生の代え難い一部である"、という事実を本人がいる前で言ってしまえるって相当な覚悟と決意だな、となぜだか読んでる私のほうが照れ上がってしまい、こそばゆい指先でそっとページを閉じたのだった。

 

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23歳。もう法的にも社会的にも完全に"大人"側に含まれる年齢です。自らを青春フェチだと自称し、中高生からの友達に「お前遠くなったな」と言われるとその寂しさを原動力に一曲書き上げてしまうほど、"少年だった頃"を繊細なガラス細工を扱うかのように丁寧に愛おしく抱き締めている人*2。そんな風磨くんが"大人になってから"の感性で切り取る風磨くんだけの世界を、私はとても楽しみにしています。10年後、「案外大人も悪くねえじゃん」ってへにゃりと笑っていてほしい。

 

少し遅くなりましたが、菊池風磨くん23歳のお誕生日を想って。

 

 

*1:2017年3月29日発売:TVガイドAlpha EpisodeD 71ページより引用。

*2:『XYZ=repainting』DISC 2収録「Sing along song」