愛はジャスト

Sexy Thank You to the World

アルバム『DEAR.』全曲レビュー&特典DVD感想

はじめにこのアルバムの一番の思い出を語っておくと、出すのが遅いの一言に尽きます。

ツアーの初日が7月28日でアルバムの発売が7月27日という超強行スケジュールに、「寿命1週間のセミの世界でもそんな生き急いだスケジュール組まねーわ!」とセミの如しけたたましさで憤慨したりしましたが、どうにもなりませんでした。しかし私のような声が数多くあったのか今回のアルバム曲はラジオでの先行公開が異常に多く、「これで堪忍してーや…」と新しい曲が公開される度に玄関先に菓子折りを突き付けられているような気分になったので、もうこの件については良しとします。というか単純なオタクなのでいざアルバムを手にしたらそんな不満を募らせていたこともすっかり忘れました。でもこの発売日程はかなり深刻なミスだったと思います。

さて、文句から始まりなんだか辛気臭い雰囲気になってしまいましたが、ここからが本題。今日は我らがエンジェルHey!Say!JUMPちゃんの記念すべき5thアルバム"DEAR."の感想を綴ります。初回1・初回2・通常の3種類分の所感とDVDの感想を同時にブチ込んでいるのでかなり長くなっておりますがご容赦下さい。法事で久しぶりに顔を合わせた親戚となんだか気まずくなってしまい、逃げるようにトイレに篭ってみた時に読むのにオススメです。ではいきます!

 

 

1.Invitation(Instrumental)

すっかり定番と化しつつあるアルバム冒頭のインスト曲。閉演後の真夜中のディズニーランドで流れていそうな雰囲気の、不気味さとかわいさが同居したなんともミステリアスな導入曲です。DEAR.というアルバムの1曲目にInvitationなんてタイトルの曲を持ってくる山田さんの伊達男っぷりに金一封差し上げたい。

 

2.Masquerade

なんと前トラックのアウトロとこのイントロが繋がっています。気合いが入ってますね!ビッグバンドの魅力をこれでもかというほどに詰め込んだ豪華かつオシャレなジャズチューンで、今回のアルバムのアダルティなイメージを印象付けるのに打ってつけの一曲。まぁリード曲なんですけどね。ゅぅゃのセクシーで気怠げな「うぉどろトゥナイ」の適材適所感が素晴らしく、この曲のパート分けを担当した方は是非とも弊社人事部までご転職願いたい。

 

3.RUN de Boo!

出ました!ジャニーズお得意の音楽ジャンルごちゃ混ぜにしすぎて高低差に耳キーンなるやつ。イントロ部分はまだMasqueradeの余韻を残した怪しいミュージカルサウンドなんですが、Aメロから突然ベンチャーズっぽいギターの入ったロカビリーに豹変し、挙句の果てにヘイフー!とか言い出すんですよ。で、Bメロで思い出したようにJ-POPに戻り、続くサビではJumpという単語の大バーゲンが始まります。そのあとまた2番を始めるべくロックなAメロに帰るのですが、繋ぎにほとんど違和感が無く、プロの編曲家の美技に舌を巻きました。ていうかランデブーってそもそもの意味的に男女の密会とかそういう類のものだよね?思いっきり「行くよ!Everybody!」って歌ってるけど、この子たちとんでもないクラッシャーだよ。

 

4.ドリームマスター

大ちゃんの「どうせその後食べて飲んで騒ぐでーしょっ(ツンッ)というつっけんどんな台詞が聴けるのはこの曲だけ!サビの知念ちゃんの「ダーメー!」もなかなかに鬼気迫るものがあるので、ダイエット中に間食しそうになった時などに聞くとうまく思い留まれるかもしれません。一つ惜しいなと感じたのは、1番のCメロで「節操のない君が 世相を切るのかって」っていうすごい分かりやすい韻を踏んでるのに2番の同じ部分には何もない点です。雑!

 

5.B.A.B.Y.

これ申し訳ないけど私にはCOMPLEXしか思い浮かばなかったです。ビーマイベイベーがあまりにビーマイベイベーを想起させるので、B.A.B.Y.→COMPLEX"Be My Baby"→布袋寅泰"スリル"をセットで聴くのが日課の一つと化してしまいました。「あれ、私は確かJUMPを聴いていたはずなのにどうしていつの間にか布袋を…?布袋ってJUMPに加入してたっけ…?」と世界線が混同するトラップ曲。(※完全に個人の感想)

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これが件のソレなんですけど、このPVの吉川役を裕翔りんに、布袋役を圭人にやってほしすぎて既に何度か勝手に妄想して楽しんでおります。

 

 

6.キミアトラクション

わっしょい系ド直球ラブソングとしての勤めを終えて家路へ向かう真剣SUNSHINE。疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。キミアトラクションをかばい全ての責任を負った真剣SUNSHINEに対し、車の主、J Stormに言い渡された示談の条件とは…。

こ、このネタ伝わりますかね!?要するに、真剣SUNSHINEは犠牲になったのだ…という話です。なんで入らなかったんでしょうね。

 

7.Special Love

ずばり好きな曲。トレンディドラマの主題歌のようなキャッチーなメロディーと、アイドルらしいキラキラサウンドについテンションが上がってしまいます。2番の伊野尾くんの「そう Life is crazy だけどAmazing」の裏声にいくかいかないかの張りつめた地声がキャワユすぎて、その部分ばかり何回も聴いています。伊野尾くんこういうオタク嫌いそうだよね!!同じパートでもまだ比較的余裕がありそうな大ちゃんとの差が面白く、聴き比べながらニヤニヤしてます。

 

8.Dear.

イントロの柔らかなアコギが印象的な一曲。山田さんの好きそうな曲だなぁと思っていたら実際にインタビューでこの曲を推しているのを見かけ、すっかりしたり顔の私です。元々うるさい音楽が好きなのでバラードって普段はほとんど聴かないんですが、この曲は数回再生するだけでサビが耳に残ったので、「もう1回あの曲聴こうかな」という気が起こりやすいです。

 

9.Eternal

CMのタイアップ曲ということでどんな無理やりリリック(参考:Come On A My House)が飛び出すのかとワクワクしていましたが、すごい普通です。「潤いの笑顔 僕は守ってたい」という部分は上手くやり込めたなという感じがします。作詞家さんって大変だ。

 

10.SUPERMAN

タイトルこそSUPERMANですが「重ねた君の口づけで火が付いた My world」って歌詞、キスされて生き返った時の白雪姫みたいでかわいいですよね♡まぁJUMPちゃんは本質的に姫だから仕方ないね♡こういうプチョヘンザッ!とか入ってるタイプのイケイケEDMあんまり得意じゃないんですけど、これは聴きやすくてお気に入りです。この曲に限ったことではないですが、いつもは聴かないジャンルの音楽もアイドルが中和剤になることで触れる機会が増え、視野を広げるきっかけになるのはありがたいことだなと感じます。

 

11.order

初っ端のヘイヨー↑は不意打ち過ぎて笑ってしまいましたが、これも好きな曲。どこか倦怠感のあるムーディな雰囲気の曲調で、今までのJUMPには無いウェッティーな色気が新鮮です。ただ、異常なまでの存在感を放つデデーーーーーン!!!という金管はどうしても強く頭に残ってしまいますね。このフレーズを聞くと自動的に脳内がガキ使の「浜田、アウトーーー!」に占拠され非常に困っていたのですが、今調べてみたらガキ使の効果音のほうは半音下がるみたいです。大変失礼いたしました。

 

12.Tasty U

ラテン調のイントロを聴くとどうしてもポルノグラフィティのアゲハ蝶を口ずさんでしまう世代ですが、今後はこの曲も加わるかもしれないですね。メロディーも綺麗なのですが、この曲は何といっても歌詞が趣深いです。「サヨナラに触れずにおやすみ」とか「絡んだ紐 運命を解いていく」とか、本来形の無いものに形を与える歌詞ってとってもロマンチックじゃないですか?あと「情熱に淫らにおやすみ」とか「Kiss me all night」とかJUMPちゃんにそんなの歌わせたらPTAからクレームが来るのでは…と肝を冷やしておりましたが、初回2にこんなのを凌ぐ由々しき歌詞の曲が入っていたので杞憂で済みそうです。

 

13.スローモーション

スローモーションどころかむしろ高速。そして今回のアルバムで一番好きな曲です。まさかJUMPでこんな良質なブレイクビーツ、しかもジャングル調の曲が聴けるなんて夢にも思ってなかったので感無量です。今回収録されている打ち込み系の楽曲たちはどれもこれも「流行ってるしテキトーに電子音楽数曲入れとくか」という物臭な姿勢ではなく、それぞれしっかりと音が作り込まれているので制作陣に対する好感度がうなぎ上りです。声の過剰な加工もなく、歌声自体もしっかりと堪能出来ます。過ぎ去ったあとにフワッとシトラスの香りだけが残るような、スッキリとした爽快感と小さじ一杯の切なさが入り混じる曲。

 

14.愛のシュビドゥバ

「DEAR.素敵タイトル大賞」をあげるなら絶対にこの曲。字面も語感もかわいい。スウィングジャズを基調とした爽やかオシャレな楽曲で、歌詞通りポップコーンの弾けるような小気味いい可愛らしさに溢れています。スキャットも随所随所でしっかりと効いてるし、間奏にはウッドベースのピチカート、ピアノソロ、ギターソロなど彩り豊かな音色が情緒豊かに組み込まれており、楽曲としての完成度はかなり高いと思います。ギターやキーボードの雰囲気にフリッパーズギターピチカートファイブのような古き良き渋谷系要素を感じたので、その系統の音楽が好きな人にもオススメ出来るのではないでしょうか。結局最後までシュビドゥバが何なのか分からなかったけど、「の」にも「に」にも「は」にも接続出来る脅威の汎用性を持つ単語ということだけは理解しました。

 

15.KISS Diary

シンプルなバラードは一人一人の歌声が堪能出来て良いよね!というのは前に何か別の感想でも書いた気がするけどまぁいいや。冒頭の薮様の一つ一つの言葉を指でなぞるかのような丁寧な歌い方が好きすぎる。

 

16.Brand New World

一聴してジャニーズっぽい!と思った曲。レツゲリロンゲリロン~♪とついついフレーズを頭の中で反芻してしまいがち。余計なお世話かもしれないけど、折角インストであんなに綿密に世界観作り込んだんだから最後もインスト曲で終わればいいのになって思いました。そっちの方が絶対統一感出るのに。こういう明るい終わり方もこれはこれでアリなのかもしれないですが。

 

17.From.

最初は男版aikoみたいな歌詞に顔を引きつらせながら聴いていましたが、よくよく考えたらDear.がオタクへ宛てたものならFrom.もオタクへ向けた歌ってことになるよね♡と考えを改めてからは無事頬の筋肉も弛緩しました。ところで「雨の日も君の手にかかれば水遊び」ってどんな能力者の女なんですかね。

あと単なる偶然だけど「君と同じ時代に生まれてきた僕らはツイてる」って歌詞、少し前に話題になった平成が終わる・終わらないという話に思いを馳せながら聴くと、更にグッとくるものがあります。私も君たちと同じ平成という時代を生きることが出来て良かったよ~!

 

 Disc.2

1.今夜貴方を口説きます

80年代のユーロビートというかトランスというか、一昔前のパーリナイなディスコを思わせる曲調。謎の中毒性があり、聴き続けるとどんどんクセになります。歌詞は…史上稀に見るヒドい歌詞なんだけど…まぁ…その………伊野尾くんが楽しそうで何より…(^ν^)

ところでなんで伊野尾くんって他のみんなが割と趣味を爆発させてるユニット曲でひとりネタに走り続けてるんだろう?って考えてみたんだけど、「恥ずかしいから普段聴いてる音楽を他人に知られたくない」って前にらじらーで言ってたのを思い出して、そういう理由から来るネタ曲への逃避ならこんなにかわいいことって全宇宙中探してもないよね。何の理由も無いのかもしれないけど。

 

2.Mr.Flawless

THE・正統派カッコいい曲。モダン・ジャズっぽいアンニュイなサウンドと3人の大人な歌声がしっとりと胸に絡みつきます。今回のアルバムはジャズ調の楽曲が3曲入ってるけど、どれもこれもテイストが違うので聴き飽きることがないです。

それにしてもこの曲、高級なお肉をお塩のみでいただいている時のようなえも言われぬ贅沢さがあります。素材が良いものはシンプルな味付けで勝負するのが一番であるということがよく分かる好例。

 

3.僕とけいと

「この曲を聴いてから腰痛が治り、悪縁は切れ、宝くじまで当たりました!本当に幸せです!(20代/女性/会社員)」と、あらぬ口コミを手当たり次第投稿したい衝動に駆られました。知念ちゃん×圭人という組み合わせ、凄まじいヒーリング効果を発揮します。まさに聴くパワースポット。この曲をウォークマンに入れるだけであなたもたちまち移動式パワースポットの主になれます!(20代/女性/会社員)

 

4.My Girl

ドドドR&B。山田さんと大ちゃんのそれぞれの音楽的な趣味が好ましい形で結晶してるのではないでしょうか。全然意識したことなかったけど、この二人の声って重なるとすごくいい味出すんですね。同一化し過ぎず、排斥し過ぎずの良いハーモニーだなぁ感じました。と最後の「ずっとShe's my girl」で山田さんが下のハモりに入るのが切なさマシマシで好き。

 

 初回1.DVD

"Masquerade"MV

山田さん曰く「カッコいいJUMPをファンの皆さんに届けられたかな」とのことですが、その思惑通りのカッコいいMVとなっています。セットも衣裳も手が込んでいて、何度見ても新しい発見がある。伊野尾くんと大ちゃんの二人だけが蝶ネクタイの衣裳なのですが、それ決めたスタイリストさんと飲みに行きたいです。分かってらっしゃる。

あと「香水をしのばせて」で首筋に香水をつける仕草をしながら挑発的にカメラを見つめる山田さんがドストライクです。そもそも個人的に香水をつけるフリ*1が大好きなので、欲を言えばこれは全員分見たかった。でもあえて見せてもらわないで、○○はこういう付け方しそうだな♡と妄想するのもまた一つの醍醐味なのかもしれません(by キモオタ)。

 

メイキング

長くなりそうなので気になった点をランキング形式で紹介します。

第1位:「なぜそこに座っているのか」…いつの間にか知念ちゃんが伊野尾くんの膝に座っているシーンがあるのですが、前後の経緯が絶妙に編集されているので何がどうしてそうなったのかさっぱり分かりません。いや、分からないことこそが全てを理解する唯一の手立てなのかもしれません。またいのちねという禅問答が始まってしまう。

第2位:「圭人がかわいい」…「"火は熱い"レベルの自明の理を書くな!」と怒られてしまいそうですがどうしても文字に起こして再確認したかったので書きます。圭人がかわいい。せっかく4体も持ってる伊野尾くんにじゃんけん勝ったのに「ひとつ寄越しな」ってひとつだけ要求するの、お人よしにもほどがある。

第3位:「大ちゃんの髪型が最高」…このMVの大ちゃんの黒髪ストレートヘアがあまりにもかわいすぎて、「さっすがヘアカタログの表紙を飾っただけのことはあるねぇ!ヨッ!」と大衆居酒屋で管を巻いてるオッサンみたいな野次を心の中で何度か飛ばしてしまいました。元々黒目がちでお人形っぽい顔立ちだけど、この髪型にすることによって更にドール感が増しています。今まで見た大ちゃんの髪型の中で一番好き。パーマを必死にストレートアイロンで伸ばした姿を想像するだけで、地上のありとあらゆる生物に優しくなれそうな心の余裕が生まれてきます。

 

 

総評

これまでのアルバムはJUMPが各作品のコンセプト(smartはオトナな雰囲気、JUMPing CARはポップカワイイ感じ)に自ら合わせにいっているような印象を受けたけど、今回のアルバムはあくまで「現在進行形のJUMP」を主体として、今の彼らに合わせた楽曲が下りてきているような印象を抱きました。だから無理がなく自然でどれもが耳に馴染むんですよね。天使にこんな言葉を使うと不敬罪で逮捕されるかもしれませんが、"等身大のリアル"という表現が個人的にはしっくりきています。近年のJUMPの"カワイイ売り"には食傷気味だったファンの方も多いと思いますが、私的にはあと1年はかわいいでイケると踏んでいたので今回のかわいい系楽曲の少なさには一抹の寂しさを覚えました。ただそれは私が"カワイイ"を窓口にJUMPを知ったからであるという思い出補正も少なからず影響しているので、過去を踏まえ未来を見据えて"JUMP"というアイドルグループを俯瞰で見た際にはこの楽曲比率が最もベストなのだと思います。もしかしたら今後はもう過剰な"カワイイ"は卒業してしまうのかもしれないけど、Masuqueradeのような別方面での過剰さを追求し始めているようなので、また違った期待が膨らみます。私はアイドルには常に日常から遠く隔たった非日常の存在でいてほしいので、過剰さ・余剰さはどんなスタイルになっても忘れないでいてほしいです。

以上、色々書きすぎて何書いたかもう8割くらい忘れたけどこれで終わります!

*1:セクゾの"君にHITOMEBORE"にもある。