愛はジャスト

Sexy Thank You to the World

Sexy Zone Sexy Tour 2017 "STAGE"感想 ~夢と現実の間に~

私が生まれた90年代というのはアポロもとっくに月面着陸を成功させていたし、ベルリンの壁だって数年前に崩壊していた。生まれて初めて遭遇したいわゆる"歴史的瞬間"といえば死にかけのバブルを看取ったぐらいのもので、「どうしてこんなロクでもない時代に生まれてしまったんだろう」と折に触れて己の悲運を呪ったものでしたが、決してそんなことはなかったのであるーーー。そう、時はすでに紛うことなきSexy時代史上最強に華麗なるこの時代に生を受けてしまったことに、あの日鮮烈に気付いてしまったのだった。忘れもしないあの日、2017年5月7日、横浜アリーナで行なわれたSexy Zone Sexy Tour 2017 STAGEで………。

 

 

「えっ…今更…?」

 

そんな声がここまで聞こえて来ました。誰も言っていなかったとしても、今私がつぶやきました。そう、何を隠そうこのツアーの幕開けは3月、オーラスは5月、そして今は10月…。初日の公演から季節ははや半周廻り、同じ寒さは寒さでもあの頃とはまた違う種類の寒さが身を震えさせます。"今更"---ええ、そんなの書いてる自分が最も強く承知しております。にも拘らずなぜ書いたのか。答えは単純です。書きたかったからじゃ!!!

申し訳程度に事のセクシー顛末を説明すると、この春、足掛け6年伴侶同然に緊密に連れ添ったパソコンが壊れました。これは大変悲しい出来事でした。そしてスマホで長文が打てない人間こと私なので、PCを奪われた状態でブログなんか一文字も書けません。さっさと買いに行けばよかったのですが、時を同じくしてマッドマックス社畜のデス部署に異動になり、業務内容は一転、残業時間は従来の10倍へ。ジャニーズショップの通路より狭い私のキャパはもう限界。この異動が今までの生活を根底から変えるトリガーとなり、平日は朝から晩まで会社に缶詰めという日々を余儀なくされておりました。しかし絶対に趣味は諦めたくない頑固なオタクであるので、休日は追いかけてるバンドの全国ツアー、サマパラ、JUMPのツアーなどこれ見よがしにオタク業務に精を出しまくった結果、PCを購入するという優先順位は必然的に下へ下へと押しやられていきました。そして先日ようやっと重い腰を上げPCを買いに行った成果として現在、旧友に再会したかのような懐かしい感触を手にいそいそとキーボードを叩いているというわけです。ちなみにパソコンが壊れたのが5月の初めのことだったので、実は本エントリの8割は当時書き溜めていたものです。途中で円盤が発売されたのでコンサートと円盤の感想が入り混じっている部分が多々ありますが、そこは皆さんのセクシー仏心に免じてご容赦頂きたい所存です。

さて、最初に断っておくと、妖怪現場大好き女である私は今回も複数の公演に参加させて頂きました。不快感を抱かれる方は早めのブラウザバックを推奨いたします、すみません。今回、名古屋と大阪へ行くことは最初から決めていたのですが(近いから)、オーラスの横浜は見送るつもりでした。しかし名古屋公演終了後、冷たく降りしきる春の雨に打たれながら「彼らの"今"を一分一秒でも見逃してはならない…!」というかつてないほど強靭な天啓に撃たれ、次に意識を取り戻した時には憑りつかれたように横アリのチケットを探し始めていたのでした。いやもうそれほどまでにね、凄まじかったんです。圧倒的だったんですよ。

そしてもう一つ断っておくと、この記事、尋常じゃないくらい長いです。これは単なる脅しや「つまらないものですが…」と菓子折りを差し出す際の常套句などではなく、本気で長いです。字数でいうと、約19,000字。もはや20,000字に肉薄する勢い。しかしそうはいってもどれほどの長さかなんてピンと来ないのが世の常。東京ドーム何個分とか説明されても全く現実味を帯びないのと同じ原理です。ですので、卑近な例で例えさせて頂くと、Myojoの1万字インタビューおよそ二人分、そして私のガチ卒論より長いです。

………事のヤバさをお分かり頂けたでしょうか?あまりに長いです。マジで長いです。

 

さて、もはや誰に向けて言っているのか分からない釈明大会はこのあたりでお開きにすることとして、以下、愛とセクシーに溢れたSTAGE魂の感想を綴っていきます。

 

*

 

今回、まずセットが超〜〜〜オシャレでした!ホールの暗闇にクッキリと浮かび上がる色とりどりのネオンは、カラフルなリキュールが棚いっぱいに並べられた外国のバーを思わせ、世間がSexy Zoneに対して持つ"子供っぽい"や"かわいい"というイメージとは一線を画したムーディな空間になっていました。"バイバイDuバイ"という突然のカタカナ感が否めないネオンはなかなかのインパクトがありましたが(なんと衝撃のセトリ落ち)、ブレードランナーサイバーパンクものの映画のワンシーンっぽくもあり、それはそれでサマになっていました。

暫しセットに見惚れていると、メインモニターに何やら時刻表示らしき数字があることを発見。無機質な数字が機械的に時を刻む様はホールという巨大な時限爆弾が爆発するまでの不穏なカウントダウンのようで、興奮で正常な判断力を喪っていた私は「えっ、死ぬ…」(オタクすぐ死ぬ)と瞬間的に死を悟りましたが、実際は開演時刻までを示すカウントだったので命拾いしました。しかしモニターの数字が"0"を示した瞬間、爆発さながらの悲鳴と嬌声が方々から沸き起こり、「あぁ、ジャニーズのコンサートに来たんだな」と熱に浮かされた頭が水を打ったように覚醒した。今にも飛び出さんとばかりに脈打つ心臓を撫でつけるようにしてうちわを胸に立ち上がり、メインモニターに目を向けると、見慣れた美青年たちがモノトーンの映像の中で世界一優雅なお戯れを繰り広げており、「あぁ!私はこれを見に来たんだ!!!」と鼻息を荒げるや否や厳かにモニターが上がった。次に目を開けた時には一列に横並びになった5人の姿がありました。

そして始まった一曲目はROCK THA TOWN。勝利くんの鉄砲玉のような「Ready for the party now?」という威勢のいい第一声が茫漠な熱気に包まれた会場にピリリとした爽快な緊張感を与え、"俺たちでこのステージを作っていくんだぜ!"という頼もしい気概に全てを預けたくなった。彼らの"今"を象徴する一曲で一気にテンションのスカウターを振り切れさせられたところでお次はCelebration!。このファンク攻めには猫も杓子ももう踊り出すしかない。勝利くんの「過去も未来も…忘れてこーぜえええっっっ!!!」という力強い叫びにあやかって、ここに来るまでに掛かった交通費や宿泊費、休みを取るために職場についた嘘(架空の友人の架空の結婚式)など、その他諸々の一切をお言葉に甘えて有り難く忘れました。大丈夫、大切なのは今この時だから…………(震え)。

サン・オブ・ザ・ゴッド勝利様のお導きにより技を忘れたポケモンのように何もかもを綺麗サッパリ忘れ、真の自由を得た我々を次に待ち構えていたのは初期きっての名曲と名高いHigh!!High!!People。名曲とか書いたけど実はこの曲このツアーに入るまでに計3回くらいしか聴いたことがなくて、「何でこの曲こんな人気あるんだろう?」と常々疑問に思っていたのですが、金管きらめくサウンド、少年らしい希望に満ちた歌詞、\Yes!!/というドルオタ必至の合いの手…ド名曲やないかい!!むしろ何で今までこんな良曲を無視して生きてこれた?と過去の自分の肩をひっ掴んで揺さぶりたい衝動に駆られました。ちなみにツアー終わってからは何度も何度も聴いてます。良い曲です。この曲の個人的な萌えキュンポイントは、「想像もつかない 明日が待ってる」というケンティーのソロパートで、モグラ叩きのモグラのようにケンティの両肩からひょこひょこ顔を覗かせる聡マリです。世界一叩けないモグラだし、なんならシルクのハンカチにそっ…と包んで持って帰りたい。オーラスでは聡ちゃんが不意打ちでケンティの頬にリアルキッスしたのちそのまま耳元で「また後でねとマイクを通さずに呟くというおよそ素人とは思えぬ手練手管を発揮し、2017年度上半期・敵にしたくない女ランキング堂々の第1位に輝いた。

「ゆっゆっゆ、You~♪」と歌いながらみんなでステージをめいっぱい移動し、ティンカーベルが魔法の粉を振り撒くかのような愛らしさで会場中を瞬く間に幸せの粒子で満たした後は、これまでのポップな流れとは打って変わったタンゴ調の旋律が鳴り響き、B面のエースことMiss Mysteriousが登場。私がどれほどミスミスを愛しているかはこちらをご確認頂ければ内容云々より文字数から漂い出るからお察し頂けると思うので、暇すぎて畳の目を数えることくらいしかやることがなくなった方は是非読んでみて下さい。話を戻しますが、振り付けやステッキを使ったパフォーマンスなどはケンティーのサマパラ(2016)とほとんど同じでした。「みんなでケンティーをぐるっと囲んでダンスの練習とかしたのカナ!?」と想像するだけで心に住んでる修学旅行が育ちます。この曲の一番の見どころは「燃え尽きる時も一緒になって 星屑になろうよ」と歌いながら宙に指で星を描き、そのまま手でくしゃっと握り潰すような仕草をするケンティー♡♡♡

と言いたいところなんですが!!!

いやここも十二分に素敵なんだけど、個人的に一番の白眉は曲が終了して次の曲へ切り変わる僅か数秒の間に、手に持っていたステッキにそっと口付け、雛から育てた小鳥を野生に帰すかのような慈愛に満ちた手つきでステッキを舞台外へ放り投げる生まれながらのジェントルボーイミスターケンティー!!!(ここまで一息)その後、舞台下で待機していると思しきスタッフさんに指さしファンサを送る姿も観測され、そのパフォーマーとしてのあまりに完成されすぎた美技に思わず息を呑んだ。暗闇を身を隠すための暗幕ではなく、彼自身の輝きを一層引き立てるための装飾に、ただの作業をパフォーマンスに変えてしまう人なんだよ、中島健人というアイドルは………………。念押しするけどこの一連の所作、モニターにも何も抜かれてないただの何の変哲もない暗転中に起こった出来事だからね!?ポニキャさんお願いだからここマルチアングルで収録してくれ〜〜〜。今からでも遅くない!

さて、ミスミスの次はLove Confusionと続き、今のオトナなセクゾの魅力を全面に押し出したムード溢れるナイスな選曲だったのですが、恥ずかしながらわたくし、先ほど述べた中島健人アイドル列伝(生放送)のあまりの神々しさに毎度毎度失禁したチンパンジーのようにぶるぶると震え上がってしまい、どの公演もラブコンの記憶が希薄なんですよね………(ごめん)。ただ、女性に接するかのような艶めかしい手つきで椅子を扱うケンティ―の姿だけはおぼろげに頭に残っていて、もし彼が国だったら全ての言葉が女性名詞なんだろうな…という取り留めのない妄想をしたのは覚えています。それ以外は覚えていません。いやホント罪な引力で惑わせすぎですよ、ミスミス終わりのケンティー…。

空白のラブコン(※個人差があります)の次はマリウスのソロコーナーにバトンタッチするのですが、「美人、美人、美人、ひとり飛ばして美人」という漫才のTHE・伝統芸をまさかハーフの美少年の流暢な英語で聞くことになろうとは夢にも思いませんでした。仔犬みたいに愛らしい表情で愛嬌たっぷりに言うもんだから、もう母性由来の女性ホルモンの過分泌が止まらなかった。でも美の伝道師マリ様が仰るなら「端からブス、ブス、ブス、はぁ全員ブス。出直してきて。」という方向性の煽りでも全然テンション上がったなって思います。我々の業界ではご褒美です!

綾小路マリまろ芸と"STAGE"というツアー名に込められた意味を解説し終えたあとは「First,This guy…Shori Sato!という宇宙一カッコいいイントロデュースと共に勝利くんのソロ曲Why?がスタート。血で染め抜いたような真っ赤な照明が降り注ぐステージで、全てを撥ねつけるように輝く金色の衣装を纏って躍る勝利くんは、深紅のビロードに誂えられた一点ものの宝石のようで、ひたすらに眩しくて高潔だった。バックのJr.が出てくるまでたった1人であの色んな欲望や羨望が渦巻く1万5000個もの赤を背負って毅然と立てる人間は世界中どこを探しても勝利くんだけだな、と畏怖すら覚えた。

Why?が終わるとステージはいったん無人になり、各メンバーのこれまでのソロ映像が流れ出します。今より少し幼いメンバーの映像に子を産み育てたような気持ちになっていると、デデデデン!!!と速まりすぎたドリブルのようなイントロが流れ、察しのいいオタクはそれがケンティ―のソロ曲Telepotationであるということに瞬時に気が付いたのですが、ステージの様子が想像と少し違いました。なぜなら5人が横並びになっているから…。ソロ曲を全員でやるっていう発想がまずもう天才なんですが、衣装がまた素敵だったんですよ。特に風磨くんの上下パステルピンクのスーツに第一ボタンまでしっかり留まった清楚な白シャツ、そして首元には黒いリボンタイという出で立ちにはいい意味で期待を裏切られました。"王道アイドル"というセクシーゾーン固有のイメージと自分の出したいカラーとのギャップに葛藤し続けた風磨くんが、5年越しで出した答えが"アイドル"と"女の子の夢"を煮詰めて固めたようなあの砂糖菓子のような甘いピンク色のスーツだったのです。男女問わず"カワイイ"を引き受けて立つ覚悟を決めた人というのは何よりも"カッコいい"というのが私の持論なのですが、あの時、指で触れると溶けてしまいそうな淡いピンク色のスーツを纏って堂々と私たちの前に現れた風磨くんは、そういう選ばれし者(選び取った者ともいう)だけが得られる特別な輝きに包まれていて、思わず目頭が熱くなった。ケンティ―に関しては序盤にぶっとい首輪を着けて出てきた時から「彼はいつだって想像の斜め上をいくな…」と唸らされたものだったけど、このテレポの亀甲縛りもといハーネス衣装を見た時は、想像の斜め上どころか真上からブロック塀が直下してきたような衝撃だった。これについては度重なる脳内会議の結果、「彼はアイドルの神様のスぺオキだからいつだって神の手元に置いておかれるべく天界に飼われているのだ。故にあんなにも拘束感の強い衣装なのだ。」という結論に辿り着いたので皆さんもそう思って下さい。お願いします。パート割も「こんなに適材適所なことある?適材適所の語源ココ?」と日本語源大辞典に問い合わせたいくらい見事だったのですが、特にあっぱれだったのはマリウスの流暢な発音で歌われる"I'm in Tokyo now."です。説得力が段違い!

その後、ノスタルジーを誘発する昔懐かしいオルゴールが流れ出し、糸に見立てたレーザーに操られた5人がマリオネットダンスを始めました。あのレーザー、ああ見えてとっても殺傷能力が高くて、素肌に触れるとかなり重い火傷になるんですよ。だからみんなレーザーを使う場面は手袋を嵌めてるんだけど、顔が命といっても過言ではないアイドルがあんなにも大胆にレーザーを使う姿は正直見るたびに肝が冷えました。なので怪我の報告を受けることなくオーラスを終えられて心底ホッとしたし、演出から構成まで全ての指揮を取った風磨くんのこのコンサートにかける想いとステージに対する美意識の強さを改めて実感した。

そしてオルゴールがそのままイントロに繋がるというニクい演出のもと始まったKing&Queen&Jokerは、おもちゃ箱をひっくり返したようなわくわく感と合成着色料のようなパキッとした世界観がホールの暗闇に毒々しいほど鮮やかに映えて、他のどんなグループにだってこんな幻みたいな世界を表現することは出来ないなって、ただのいちファンにすぎない私まで誇らしい気分になりました。セクシーゾーンって本当に自慢のグループなんだ!!!

KQJが終わると聡ちゃんがJr.を紹介していくソロのダンスコーナーに移るのですが、役目を終えた後にそっと目を閉じ、品のいい笑みを口の端に浮かべたまま深くお辞儀をする聡ちゃんの姿がまるで昔絵本で読んだおとぎ話の世界の案内人のようで、あの頃の童心のときめきが否応なく蘇った。ひとりで舞台の底にスッと消えていく聡ちゃんはそのまま絵本の世界に帰ってしまいそうな儚さを孕んでいて、つい「行かないで!」と心が叫びたがった。

そんな愛おしい感傷に浸れたのも束の間、お次は最高にハッピーでピースフルなマリウスのソロ曲ダンケ・シェーンがスタート。黒ひげ危機一髪のように勢いよくステージ下から飛び出てきたマリウスはマジで新・太陽爆誕って感じで、あの瞬間太陽系の序列が動いた音が聞こえた。たくさんの個性あるJr.に囲まれてなお、骨の髄から発光するように輝くマリウスの天性の華にはお母様から受け継がれる宝塚の血をビシバシ感じざるを得なかった。それくらいマリウスの存在感って、圧倒的に"陽"で"光"で"明"なのです。

マリが会場に虹の魔法(曲の終わりに電飾が七色に変わった)をかけた後は再びメンバーがステージに並び、セクゾきってのメロウなバラードよびすてがスタート。この曲、ステージの後ろから落ちかけの夕陽みたいに差してくるオレンジの照明がとーっても綺麗で、純白のスーツに身を包んだ5人の輪郭が空間と柔らかく溶け合う視界はまるで印象派の絵画を見ているような恍惚感でした。特によびすての最後、5人でスッと人差し指を天に掲げて静止するポーズはあまりに芸術美でしたね。「ここがギリシャかはたまた天国か…」と国境と生死の境を彷徨ったところで突如、「横浜のセクシーガールたち~!!!輝いてんのぉ~!?オーケー、さすが俺たちのLadyダイヤモンド!!!」と宝石鑑定士も仕事を放棄して踊り出してしまいそうなほどスイートで華麗な中島大先生の煽りが炸裂し、俺たちの永遠の四番・Ladyダイヤモンドがスタート。この煽り、正直そこまでヒネられてないところが逆に自然に口を突いて出て来てる感じがしてかえってそのナチュラルボーンな天才っぷりを強調していると思いませんか?思いますね〜!

突然のLadyダイヤモンドにより会場の糖度は100%に急上昇し、我々の血糖値は早くもドクターストップレベルへ到達。「もうこれ以上は食べられないよぅ…」という寝言でしか聞いたことがないようなセリフがリアルに脳内を過ったところで次に投入されたのはまさかの甘味攻め、キャラメルドリーム。既にレディダイで骨髄まで砂糖漬けにされた廃人たちに注射器で直接生キャラメルをぶち込むかのようなまさに死人に鞭打つ仕打ち!こ、これがエクスタシー!!!タイトルからしてこの曲が激甘なのはその辺を歩いてる犬に聞いても一目瞭然なのですが、問題なのはSNOW風の加工を施したメンバーの顔がモニターに映し出される演出があるということなのです。元々の顔がかわいいんだから何をしたってかわいいのは当然のこと、「下界でウワサの遊びを神々も嗜んでみた」感があって大変興奮しました。あと”だけど目の前のたった一人に今は無我夢中”で見つめ合うも恥ずかしくなってクスクス笑い出しちゃうふまけんには「我々は一体今何を見せられているのだ?」と図らずもギャグ漫画日和のうさみちゃんみたいな顔になってしまいました。数ヵ月経った今でも思う。あの時私たちは何を見せられていたのだろう…?と。ところでキャラドリの見所はSNOW中の顔面だとばかり思ってたんだけど、カメラに抜かれてる最中のメンバーの後ろ姿をふと見てみると、顔の位置を揃える為に仲良く同じ位置で中腰になってお尻を突き出すふまけん、そして同じくお尻を突き出すしょり聡…の隣でひとり立膝状態のマリウス(べらぼうに長身)がいてそのいじらしい努力にほろりときた。

わんこそば形式で盛られるとめどない糖分に痛風待ったなしの満身創痍な私たちを次に迎え撃ったのは、Hey you!(もしくはぶつかっちゃうよ)。当日になるまでどちらの曲が繰り出されるか分からないというランダム形式にはとてもわくわくさせられました。Hey you!もぶつかっちゃうよもどちらも好きなんですが、やはり目の前で繰り広げられるHey you!のセクシーツムツムには格別の趣があります。若くて美しい男の子たちが汗だくで積み重なる光景のことを酒池肉林と呼ぶんだって清少納言枕草子に書いてた。

少し長めのMCを挟んでいったん会場をクールダウンさせた後は、ケンティ―のしとやかなピアノと勝利くんの繊細なギターのマリアージュが耳に麗しい君だけFOREVER。ステージの階段に浅く腰掛け、時折天を仰ぎながら歌う風マリの姿は男子高校生が屋上でお互いの進路について語り合っているかのような切なくも澄んだ空気を放っていて、なんだか青春の大切な1ページを見せてもらったようなキュンとした気分になりました。

その後、勝利・健人・風磨のクラブ感溢れるレイジーなダンスタイムを経て、ライオンとパンダの着ぐるみを着た2人が登場。2人ってボカしてみたもののこれはもう完全にマリのことなんですが、着ぐるみという物理的な遮蔽を以てしても有無を言わさぬオーラがひたひたと滲み出ていて、聡マリはどこにいたって何をしたって聡マリなのだな…と宇宙の法則を肌で感じて深く唸った。そして着ぐるみを着たまま始まったSweety Girlのかわいさったらそのままピューロランドに新アトラクションとして登場出来るレベルだった。二人がニコニコと手を振るたびにキャラメルポップコーンの甘い匂いが鼻腔にふわりと広がるような心地で、こんなにも嫌味なくカワイイを体現出来る才能にはただただ脱帽するしかなかった。曲の終盤で同じく着ぐるみを着たふまけんしょりが出てくるのですが、着てきたウサギの着ぐるみの頭部をカポッと脱ぎ、耳の部分を片手でブラリと掴んでひとり真顔で客席を見つめる風磨くんが屠殺場の主すぎて笑いました。実写版ハッピーツリーフレンズみたいだった。

さて、この世の桃源郷みたいな多幸感溢れるスイガが終わったかと思うと、間髪入れずにいかがわしいBGMが流れだし、メインステージにサッと幕が落ちた。するといかにも妖しいショッキングピンクのライトが我々を煽るように次々と点灯しはじめ、次にバーン!と映し出されたのは先ほどの着ぐるみを着たままの5人のシルエット。そしておもむろに着ぐるみを脱ぎ始め、しなやかな肢体を見せつけるかのように身体をくねらせ挑発する様はまるで…と事細かに語り出すとはてなブログからフランス書院文庫にジャンプしてしまうので自主規制しますが、とにかく幕が開いた瞬間の会場の盛り上がり方が尋常じゃなかったことだけは伝えておきたい。生まれて初めてオンナを目にした男だらけの部族の咆哮のような雄叫びがそこかしこから聞こえた。ストッキングに白いミニスカ、ロングヘアのカツラを着けてチアガール風の衣装を着た5人はオタクの贔屓目抜きで本気でかわいくて、「みんなが喜ぶと思ってちょっとやってみた~☆」などという生ぬるい媚などは一切感じられず、各人真剣に"かわいい"を極めていた。そんな出で立ちで歌われる私のオキテブスって言ったら殺すからの歌詞の説得力たるや、"ブス"って書いたうちわを見つけようもんなら2秒でステージから降りて蹴り殺してくれそうな勢いでした。しかし天下の美少女Sexy Girlsちゃんたちにブスなんて言える人間はこの世に存在しなかったので、無事血は流れずに済みました。

Sexy Girlsたちがハケたあとは、女装に狂喜乱舞したオタクたちに冷水を掛けるかのようにクール系の映像がしばらく流れたのですが、とにかくマジで顔がかっこいいなって思いました。いや冷静に考えて顔面だけで間を持たせられるってすごくない?1万5000人もの人間を顔面だけで黙らせられるのってヤバくないよね?いやマジですごくない?ヤバいよね???

すごい、ヤバい、すごい、ヤバい…とギャルの花占いのような感想を脳内で反復させながら無心でモニターを見つめていると、力強いピアノのイントロが響き出し、始まったのはIt's Going Down!。風磨くんのソロ曲ですが、これもTelepotationと同様5人での披露で、ステージに全員が立ち並ぶ姿を確認した時は思わず背筋がゾクッとしました。中でも鳥肌が総立ちしたのはマリウスの「夢を見てるような 流れる時抱いて」というパート。今までマリウスの声が高いのはただ単に若いからだとばかり思ってたんだけど、地声自体が高いよね?こういう声の持ち主がグループに一人いると自然と楽曲にアクセントや表情がついて表現の幅がグッと広がるから、もっとマリちゃんの希代のカナリアボイスを活かせるソロパートが欲しいです。

そして続いた"24-7"では再びレーザーを大胆に使ってたんだけど、前半のマリオネットではレーザーに操られていた5人がいつの間にかレーザーを操る側に変わっていて、その力強い演出に彼らの未来にかける思いの強さをひしひしと感じた。それと同時にそんな彼らの行きつく先をこの目で絶対に見届けなければならないと強く感じたし、うちわを持つ手も無意識に力んだ。風磨くんが最後の挨拶で「オンリーワンだけじゃなくナンバーワンも取りたい」と何度か話していたことが深く印象に残ってるのですが、私はセクゾの育ちの良さそうな見た目の内側に力強く抱える潔い闘志にどうしようもなく惚れ込んでしまっているのかもしれないと気付いた。絶対に、絶対にてっぺん取ろうな!!!

激しいダンスナンバー2曲が終わると突如断末魔のような呻き声が聞こえ、次の瞬間、ジュニアを引き連れた聡ちゃん舞台の下からせり上がるような形で登場。そしてそのままソロ曲"Break out my shell"がスタート。この曲の見どころは体全体を大きく使った聡ちゃんのキレッキレのダンスであるというのは特筆するまでもないんですが、曲の前後にモニターに映し出されるギリッギリの表情が筆舌に尽くし難い狂気を孕んでいてこれがまた最高なんですよ。満月の夜に人間の生き血を浴びて生き返る伝説の妖刀みたいな冴えた妖気をしんしんと放っていて、何回見ても新鮮に背筋がゾクっと冷えた。こんな表情だけで物語を語る才能のある子にいまだに演技の仕事が来ないの本当に納得いかない。ボーナスの額面と実際の手取りの差くらい納得いかない。というファイナンシャルジョークはさておき、今松島聡くんを映画やドラマや舞台に抜擢すると思う存分「ワシが育てた」ヅラ出来ますので、民法各位は前向きなご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。ちなみにサイコパス役とかヒモ役とかだと私が個人的に喜びます。…と思ったらこれ書いてる途中に「世にも奇妙な物語'17」の主演が決まっておりました(涙)栄えある「ワシが育てた」賞はフジテレビに贈与されます。おめでとうございます!

聡ちゃんの生命がそのまま水蒸気になって蒸発したかのような瑞々しい熱気によりステージ全体がグンと体温を上げる中、続く曲は低温でじっくり燻すのが気分のSlow Jam。いや世界一贅沢な寒暖差アレルギーかよ。イントロが始まると引っ込んでいたメンバーが裾から五者五様の憂いを纏ってステージに現れるのですが、その時にマリが澄ました顔で読んでるペーパーバックのタイトルが"MARRY POTTER"なのがたまらんですよね(円盤見て気付いた)。隠れミッキーを探せ的な意匠ある小ネタが楽しいです。あと、ケンティがベッドで寝ているインビジブル彼女に歌いながら顔を近づけていくあのパフォーマンス、ツアーの回数を重ねるごとにどんどん顔が近くなっていっていたのが未練の深まりを感じさせて趣深かったです。「なるほどこれが世に聞くジェラ男…」とひとり腕組みして深く頷いてしまう会心のパフォーマンスでした。

会場にしっとりとアンニュイな湿度を含ませた後は風磨くんだけが一人ステージに残り、そのままソロ曲rougeがスタート。この曲では風磨くんの彼シャツ姿が見れます。寸分の狂いもない彼シャツです。誰がどう見ても彼シャツです。こっくりさんに聞いても「か・れ・し・ゃ・つ」って絶対指すし、滝川クリステルもタイミングが少し違えば「お・も・て・な・し」じゃなくて「か・れ・しゃ・つ」って言ってたと思う。兎にも角にも彼シャツです。さて肝心の内容についてですが、見てるこちらが赤面してしまうような真の意味でのセクシーパフォーマンスに思わず目を泳がせてしまったのも序盤だけ、最終的には衆人環視のこの状況で一人エア営みを敢行する風磨くんのサービス精神に感服して拍手を送るばかりの私がいました。この曲、先述のHey you!/ぶつかっちゃうよと同じで、当日になるまで"…more"とどちらをやるか分からないシャッフル制だったんだけど、個人的にはこういうの超好きです。一つひとつの公演にオリジナル感が出ていいよね。ていうかこの曲で使われてるベッド、前のSlow Jamでケンティーが未練たっぷりに別れた恋人が寝てたベッドと同じなんですよ。二人で同じ恋人を取り合っていずれもフラれてるっぽい(予想)の興奮しません?

即効性の菊池フェロモンに酔わされ、黄色い悲鳴と嬌声が響き止まぬ中、次にバックステージから出てきたのは我らが中島健人大先生!!あまりの待望感に「よっ、ケントナカジマ~~~!!!」と指笛吹き鳴らしながら屋号を飛ばしたくなっちゃいましたよね。曲は去年の夏に爆誕したあの愛と切なさとキラメキのマスターピースHey!!Summer Honey。この曲、ひとりトロッコに乗ったケンティーがバクステからメインステージまで会場の中央を分断しながら移動するという演出なんですが、この演出について大先生がドキュメントで仰っていた見解がまさに大先生だったので、以下一部抜粋しておきます。

 

中島大先生「バックステージから本ステージまでブルーオーシャンの中をさ、トロッコで掻き分けていくじゃん?あれはもう本当にSexy モーゼ…(ここで絶妙な間)…だと思ってる。あの瞬間って、俺の願いとしては誰もが幸せになってほしい。そして自分も幸せになってほしい。お互いの幸せが辿り着いたその先には多分愛があると思うから。」

 

 

Oh…Sexy モーゼ………。

 

 

近年、パワーワードなる字面で人を殴れそうなパワフルな言葉が大流行していますが、かつてこれほどまでに神の直々のパワーを漲らせたパワーワードが存在したでしょうか。いや、存在しません。ウケ狙いやおふざけと思われるのは彼のオタクとして非常に遺憾なため僭越ながら補足させて頂くと、これを話してる最中本人はもちろん、カメラマンさんもピクリとも笑わないし、なんなら絵面がかの有名なドキュメント・プロフェッショナル~仕事の流儀~を彷彿とさせるし、本人は至って真面目かつ真剣です。初見こそ衝撃で吹っ飛ばされそうになりますが3、4回リピートすると自然とスガシカオあの曲が頭の中に流れ始めるので、騙されたと思って何回も見てほしい。そう、あれはSexy モーゼ。紛うことなき神のための導線。母なる愛の在り処を指し示す一筋の光。ちなみにブルーオーシャンというのは彼のメンバーカラーである青色のペンライトに染まった客席を海に見立てた彼の独特の表現です。"Sexy モーゼ"が中島検定1級なら、"ブルーオーシャン"は5級くらいの初歩の初歩なので脳トレ程度にサクサクッと咀嚼していきましょう!

さて、牡丹の花が綻ぶように可憐でキュートなケンティーの笑顔でサマハニが終わると、場内のあちこちからトロッコに乗った残りのSexyたちが登場。そしてROCK THA TOWNのカップリング、"Stand up!Speak out!"がスタート。この曲で印象的だったのは、ツアー序盤の名古屋で風磨くんが「みんな歌える?」と投げかけてきたことなのですが、その当時、この曲はまだ発売されていないのだった(世にも奇妙な物語)。焦るオタク、気付かない風磨、期待に応えたいオタク、歌声が全く聞こえないことを不審に思う風磨、額に一筋の冷たい汗が流れるオタク、一層耳を澄ます風磨ーーー。そんな両者の攻防の行き着いた先はオタクが見様見真似で「オエ…オ~?↑エ~エ~…オ~…?」とさながら嘔吐のようなやぶれかぶれさで覚えたての歌詞と音程を捻り出すという世界だったのですが、あれめっちゃ面白かったですね。ラストの横アリではみんなちゃんと歌えてましたよ!

その後トロッコがそのままバクステに集結して、5人が揃ったところで"勝利の日まで"がプレイオン。途中で差し挟まれるじゃんけんコーナーで勝った人が次の曲の"Sexy Summerに雪が降る"の冒頭のソロパートを歌えるというプチイベントがあったんですが、聡ちゃんの勝負強さが尋常じゃなかった。円盤に収録されてる回も聡ちゃんだし、私が行った公演もほとんど聡ちゃんでした。もう何度も勝ってるはずなのに逐一無邪気に喜びはしゃぐ聡ちゃんの天真爛漫さもさることながら、聡ちゃんがソロパートを歌ってる時のマリの心からの嬉しそうな顔と、歌い終わった後の「カワイーーーーッッッ♡!♡!♡☆彡」が聡マリすぎて圧倒されました。いや、かわいいのは確かにかわいいんだけど、この時(円盤参照)の「かわいい」って「かわいい~♡キュルルン」とかそういう小さき者を愛でる時の余裕のあるテンションじゃなくて、人智を超えたかわいすぎるものに期せずして出会ってしまい、心のダムが決壊した時に思わず喉を突いて溢れ出る種の「ンカワイーーーッッッ!!!」じゃないですか…。まるで10年恋焦がれた自担に初めて出会ったオタクの叫びやん…。いや…でも…二人はさぁ…しょっちゅう会ってるやん…??つまり時が経つと良くも悪くも失われていく新鮮な感情が二人の間には今も生きたまま残ってるということなんですよ…。でもそうかと思えば突然「前世から記憶を引き継いで来ました」みたいな熟年夫婦然としたスンッとした振る舞いもし出すしでオタクもう大混乱。不肖わたくし、未熟者ながらもこれこそが聡マリが宇宙と呼ばれる所以なのかなとぼんやり考えました。聡マリと書いてuniverseとルビを振りたい。

続くwith youでは年下3人が手前・年上2人が後ろという性癖クリティカルヒットな構図がこれでもかと言うほどに堪能出来たので、視力が5.0回復し、乱視が治り、ドライアイも完治しました(20代/女性/会社員)。特にお気に入りは、「もう泣かないで 僕に教えて」の部分でトゥインクル☆フェアリー聡マリの間から顔面国宝様のご尊顔がご開帳し、その後左右後方からシューティングスターふまけんが近づいてくるというシーンです。この光景は富士山の麓から昇る初日の出に勝るとも劣らない有難みがあります。

曲が終わり、日曜朝の戦隊モノのヒーローのようにバッチリとみんなでポーズ(私にはプリキュアに見えましたが)をキメ終わると、突如夜が流れこんできたかのように不意にステージが暗転。去年発売されたベストアルバムに新曲として収録され、このツアーのタイトルにもなったあの曲、STAGEのイントロが響き始めました。私はいわゆるセクシー鬱の時代をリアルタイムで経験せずにファンになったタイプの人間なので、なんだか何を言っても薄っぺらくなってしまう気がするのですが、それでもオーラスの時、号泣する弟組2人に貰い泣きするわけでもなく兄組2人のように意地でも涙は出さまいとするわけでもなく、他メンの挨拶中にスポットの当たらない暗がりで何度も上を向いてひっそりと涙を引っ込め続けていた勝利の器用で不器用な姿には胸が締め付けられる思いだった。どうかこの子が涙腺に押し戻した涙と黙って飲み込んだ苦しみが報われる世界であってほしいし、報われる世界を作っていかなければならないと心に誓った。いちファンに何が出来るかは分からないけれど。

個人挨拶は、健人→マリウス→聡→勝利→風磨の順で進んだのですが、どのメンバーもじっくりと自分の頭で考えて言葉にしたんだろうなということが手に取るように分かるほどその人らしさに溢れていました。中でも印象的だったのはケンティーの「大きな壁は乗り越える前はとても高いかもしれないけど、乗り越えてしまえば僕たちを守る無敵の砦となる」という言葉です。ケンティーって単なるポジティブ変換マンや無責任な楽天家なのではなく、不断の努力と自らの経験に裏打ちされた揺るぎない信念に基づく根性と理論のオプティミストなんですよ。是非とも"健人のまいにちSexy!日めくり名言カレンダー"(発売未定)に採用してほしい魂のSexyセンテンスです。

STAGEの終わりとともにいったん本編は終了。ちらほらとすすり泣く声も残る中、\セクシーゾーン!セクシーゾーン!/という熱っぽいコールが始まると、ほどなくしてスクリーンにデビュー時の映像が流れ始めました。事態が上手く呑み込めず「はて?」と首を傾げていると、なんとデビュー魂の自己紹介の映像と音声をバックに、姿は立派に成長した今のメンバーが壇上から当時の衣装(再現)を着て登場するというなんかもう「高度なVRか?」といらない懐疑心を抱いてしまうほど完ッッッ璧に5周年に相応しい演出とともにデビュー曲Sexy Zoneがスタート。当時よりも更に美しく、逞しく、清潔さすら感じられる嫌味のない色気を湛えた5人の姿はまさに王子様と呼ぶに事足りすぎており、完全に一国を統べる者としての気丈な風格に満ち満ちておりました。後生だから五国分の税金の納め先を教えて下さい。 

あとこれはオーラスのみの演出だったのですが、入場時にスタッフから観客一人一人に造花のバラとが手渡されました。同時に配られた注意書きには「このバラをライブ中に掲げてメンバーにサプライズしましょう」といった旨のことが書かれており、「あ、愛されてんなぁ~~~~!!!」と思わずその場で仰け反りました。いやホントこれだけ大量のバラを集めて来場者全員に手渡しするってどれほどの労力だったのでしょう…。サプライズが無事成功した時のメンバーの素の驚いた顔は今でも忘れられません。この様子は通常版に収録されてるのでぜひ見てみてね!

 

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(↑実際に手渡されたバラ)

 

Sexy Zoneの神演出によって血沸き肉踊り、脳髄が煮沸したオタクたちに解熱の余地を与えず続いて繰り出されたのは、個々での活動を終え、再び「5人」での出航を印象付けたある種メモリアルな一曲、カラフルeyes。もう曲順が玄人オタの所業すぎる。こんなのオタクが非公式のクラブイベントで私利私欲のまま流す曲順じゃん…DJが有能すぎるやつじゃん…。ありがとうございます…。

その後はひとたび鳴り出せばたとえ通勤中だろうと商談中だろうと否応なしにタオルを振り回してしまうパブロフ曲と名高いMake my dayと続き、尽きたと思われたテンションはラストにして天元突破。ちなみにこの2曲はスタトロ曲だったのですが、例の王子衣装の効果も相まってご公務感がヤバかったです。ファンにお手振りするお姿はさながら新年の挨拶に集った国民をお城のバルコニーからお出迎えして下さる王子の気品…。先生!私、セクシー時代が見えました!

アンコールラストは再びメインステージに集結し、興奮で張り詰めた会場をCongratulationsの温かい歌声が柔らかくほぐしていきます。そして2時間半の思い出が走馬燈のように駆け巡ります。最高の皮切りだったROCK THA TOWN、異常にえっちなケンティーのミスミス、女装、5人で歌ったソロ曲、Sexyモーゼ、涙のSTAGE、デビュー当時を再現したSexy Zoneそして女装…………。

メンバーがハけ、土砂降りのような拍手が降り注ぐ中、ダブルアンコールをせがむコールが始まるとしばらくしてツアーTシャツ姿に着替えた5人が登場。ダブルアンコは会場によって違ったようですが、オーラスで披露されたSilver Moonには格別のメッセージが感じられました。オーラスの翌日は生憎の月曜日だったのですが、風磨くんの「明日からド平日だけどォ!負けんなよ!」という力強いエールは社畜の強張った心にじんわり染み入りました。アイドルという職業柄、曜日はあまり関係ないはずなのにSexyたちはいつだって私たちのギリギリまで傍に来て一生懸命背中を押そうとしてくれるんですよ(涙)。Silver Moonの「明日も頑張れる気がする 不思議な力で」という歌詞がここまで説得力を持って寄り添ってくれることになろうとは初めて聴いた時には思いもしなかったです。これもこのツアーを通して特別になった曲のひとつです。

Silver Moonが終わると風磨くんが「俺たちの名前、呼べんの!?声、枯らせんの!?…オッケー、俺たちもマイク使わないで叫ぶから、本気で来いよ!俺たちの名前だけど、お前らの名前でもあるんだからな!」と叫んでいたのが非常に印象的でした。結婚にしろ襲名にしろ、名前を分け与えるという行為は軽々しく行われるものではないし、その人の運命と人生を背負っていく契りです。そういう特別な輪の中にファンを囲ってくれることが純粋に嬉しかったし、だからこそ彼らの覚悟に全力で応えていかないといけないなと褌を締め直す思いでした。

文字通り声が枯れるまでSexy Zoneの名前を叫び、彼らがにっこりと満足そうに微笑んで本当の本当にハケていってしまった後、トリプルアンコールを求めるコールと手拍子が沸き起こったのですが、結局叶わずに終幕。けど、誰が先導するまでもなく、手拍子が緩やかに拍手に切り替わっていったのはなんだかすごく愛に溢れた瞬間だったな。

夢うつつで会場を後にすると、前後左右に同じく横アリから出てきたファンが大量にいたのですが、どの人もみんな例の造花のバラを鞄に差して歩いていた光景がすごく非日常的でした。ハリー・ポッターでいうところの9と3/4番線とか、千と千尋のトンネルとか、不思議の国のアリスが落ちていく穴とか、日常と非日常を繋ぐ接続点というのはこれまで人間が幾度となく夢見てきた憧れの場所だと思うのですが、2017年5月7日の横浜アリーナは確かにそういう特別な空間だったよな、と今あの日を振り返ってそう確信します。私が好きな短歌の中に「ライヴっていうのは「ゆめじゃないよ」ってゆう夢を見る場所なんですね」(穂村弘)という一句があるのですが、その「ゆめ」が現実に侵食する現場を目撃してしまった気分でした。私自身、ライブという空間に通い始めてかれこれ10年近く経つけれど、こんなくすぐったい気持ちになったのはこれが初めてで、自宅に着いて遠征バッグを開いた時に真っ先に目に飛び込んできた真っ赤なバラを見て、トトロのあの有名な「夢だけど、夢じゃなかった!」というセリフが閃光のように脳裏をよぎりました。恐らく初めてトトロのアニメを見た幼稚園の頃よりも、現実味を帯びてくっきりと色鮮やかに。大人になっても見れる夢があるんだ、見てもいい夢があるんだってことをSexy Zoneに耳打ちで教えてもらったような心地でした。

 

(以下、超個人的な後日譚)

「それでもやはり現実は現実で夢は夢なのだ…」と翌日から満員電車に揺られ、いつも通りの生活を始めた仕事の帰りに買ったPOTATOのケンティーのインタビューが、「乾杯」がキマった時の長渕剛並みに心の琴線を激しく掻き鳴らす内容だったので蛇足的に一部紹介させて下さい。

Q.最近見た夢は?

(健人)ちょっと寝不足が続いてて、最近は夢を見ないんだよね。でも逆に今、夢のような日々を過ごしてるから。すごく好きな作品の撮影をしてるし、すごく楽しい全国ツアーもやってる。そういう夢はずっと見ていたいかな。*1

という内容だったのですが、読んだ瞬間放心して次のページをめくれなかった。私はこれまでアイドルにとってコンサートというのは彼らの現実の一部であると思い込んでいたので、彼らもコンサートのことを私たちと同じように夢のような時間だと認識していることにびっくりしたのです。アイドルにとっての「夢」と私たちの「夢」が交差する地点が、コンサートという紛うことなき「現実」に確かに存在するという事実が嬉しかった。決して私たちの独りよがりじゃなく、同じ言葉で、同じ温度で、同じ目線から同じ景色を見れていることがただ嬉しかった。ケンティーのこの言葉を読んで、ファンであることや応援し続けることを肯定されたような、温かい手で力強く肩を組まれたような、そんな心強い気持ちになったのでした。

 

最後に、ケンティーが本ツアーでおまじないのように唱えていた言葉を書き残してこの長すぎるレポというか感想文を終えたいと思います。

Make a wish,Make Sexy,Make happy,Sexy Thank you!!!!!f:id:qollyanna:20171018225217j:plain

*1:2017年6月号POTATO13頁より引用。